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総合地球環境学研究所

GPS900
 
GPS900_User_Report  
京都府の総合地球環境学研究所様が中央アジアのクルグズ共和国でおこなった氷河の融解量調査の事例をご紹介します。
 
クルグズ共和国(クルグズスタン)
中央アジアにある旧ソビエト連邦の共和国で、首都はビシュケク(旧名フルンゼ)。国土全体の40%が標高3000mを超える山国です。国土は東西に長く、北部から中央部には天山山脈を構成する多くの山脈が東西に連なっています。南に位置するタジキスタンに向かってはパミールの山岳地帯が広がっています。

氷河調査は、2008年9月にウスック・ゴル湖南のテスケイ・アラトー山脈でおこなわれました。ここで2003年から毎年氷河の融解量の観測をおこなっています。山脈の稜線部には小規模な山岳氷河が存在し、中腹部に広がる草原では牧畜民がテント生活をしながら家畜(羊・牛)を放牧しています。ウスック・ゴル湖は標高1608mに位置する世界で二番目に高い不凍湖です。

クルグズ共和国(クルグズスタン)

総合地球環境学研究所様のご紹介
総合地球環境学研究所(地球研)は、地球環境問題の解決に向けた学問を創出するための総合的な研究をおこなうべく、2001年(平成13年)4月、文部科学省の大学共同利用機関として創設されました。地球環境問題の本質を明らかにするために、大学共同利用機関法人の一部として国内外の諸大学や研究機関との連携研究を柱に、完全な研究プロジェクト制と研究者任期制とによって地球研は運営されています。この任期制によるプロジェクト方式は大学共同利用機関としての総合性、国際性、中枢性、流動性を実現させています。

クルグズ共和国での研究の概要
「乾燥・半乾燥地域の中央アジアにおいて、人々がくらす平野部で利用される水の多くは山岳部より供給されます。その主要な供給源である氷河は、中央アジアにおいて重要な水資源であり,夏の乾季でも安定した水量を下流部に供給する山岳部の貯水体です。近年の温暖化の影響で中央アジアの山岳氷河の縮小が報告されはじめており,今後も予想される氷河縮小により懸念される問題として水不足や洪水などの災害が挙げられます。

そこで、山岳地帯の環境変化の現状を明らかにするため、クルグズスタンの天山山脈において氷河の変動に関する様々な調査をおこなっています。その一つに,現地測量から年毎の氷河の融解量を明らかにする調査があります。氷河の表面を高精度GPSで測量し、大縮尺の地形図の作製や氷河の融解量を求めます。今回の測量では、ライカジオシステムズのGPS900を使用しました。」と総合地球環境学研究所のプロジェクト研究員 奈良間様から研究活動の概要を伺いました。

GPS使用を決定した経緯、理由
氷河の末端部は氷が土砂に覆われた状態になっており、温暖化の影響により土砂で覆われた下部の氷も融けはじめています。年毎の氷河表面の低下量を調べるため,氷河氷上や末端部の氷が土砂で覆われた表面を歩いて測量するのが今回の調査の目的でした。氷河氷上に比べ土砂で覆われた末端部の融解速度はかなり遅いため,高精度なGPSで測量をおこなう必要がありました。

また,急峻な岩壁で囲まれた山岳地域でおこなうGPS測量は、捕獲できる衛星数は少なくなることが予想され、一番大きな問題は基準局が数百キロ離れた場所になることでした。

「当初、他社のDGPSの測量器、GSIを主な目的としているものも検討しましたが、氷河の水平低下量をcm単位で記録する必要があったため、機種選定には時間をかけました。いくつか候補が決まったところでライカジオシステムズのGPSサポートに相談したところ、観測方法などについて色々とアドバイスをもらい、機種もコストパフォーマンスがよいGPS900を紹介していただきました。」と奈良間様はおっしゃっています。

今回のクルグズ共和国での作業の流れ
(1) 現地の地形図や衛星画像などを参考に観測計画をたてる。
(2) 現地を踏査して、基準局の設置場所や移動局の測量地点など詳細な観測計画をたてる。
(3) RTK-GPSによる観測。
 1.基準局の設置
 2.移動局による観測と観測点の設置
 3.その他 無線が途切れたときは単独測位で観測

今回の調査で一番苦労した点
「調査地である氷河まで調査機器を運搬するのが大変でした。GPS900の使用に関しては,移動局のポール(2m)を片手で持ちながら岩屑の斜面上を歩く際にとても慎重になりました。GPSの無線の通信が途切れないようにするため,基準局の設置はできるだけ高く見晴らしがよい場所を選びました。

山岳地域で滞在中にGPSのバッテリーが切れる問題があるため、測量時にGPSの使用時間をチェックし、バッテリーの残量が少なくなったと判断したときは町へ降りて充電しました。」と奈良間様は今回の調査について語られています。

今回の調査で一番苦労した点

GPS900を使ってよかった点
「RTKはその場で精度を確認できるので、高精度のデータを取得できます。アンテナとコントローラー間のBT接続は最初のうちは大変ですが、慣れるとすぐにセッティングして観測開始できるようになりました。この点は環境が全く異なる海外でも同じでした。心配された衛星の捕獲数は、観測する時間帯で差がありますが、衛星捕獲のよい時間帯を把握した後は、常にフィックスされた状態で観測を継続できました。

無線に関しては、100mの高いリッジを超えた場所でも問題なく使用できました。小さな凹地で無線が途切れることもありますが、局所的な場所を除けば問題ありませんでした。GPS一式がケースに収納されているので運搬や管理が楽でした。」とのコメントを奈良間様からいただきました。

奈良間様ご自身の今後の抱負
「1994年に初めてこの地に入り,1996年以降中央アジアの山岳地域(天山山脈、ギッサール・アライ)で氷河研究を続けてきました。近年の温暖化の影響で氷河を含む山岳地域の環境が急速に変化しています。

現在は,現地調査や衛星データから山岳氷河の縮小やそれに関わる影響(水問題や洪水などの自然災害)を調査しており、今後も現地研究者と協力しながら調査を継続していく予定です。

調査の結果は現地の関係機関に報告するとともに、機会があれば現地大学の講義などで伝えていきたいです。現地で暮らす多くの人に山岳地域の環境変化を知ってもらいたいですね。」

奈良間様ご自身の今後の抱負

大学共同利用機関法人 人間文化研究機構
総合地球環境学研究所
〒603-8047 京都市北区上賀茂本山457番地4
Tel.075-707-2100(代表) Fax.075-707-2106(代表)
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