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運用事例
 

GPS1200

海外事例 ゴッタルドトンネル(スイス)
 
GPS1200  
世界最長のアルプス横断トンネル建設工事を支えた基準点網の維持管理
 
 
 

スイスはヨーロッパ中央部に位置し、ヨーロッパでの商品輸送ネットワークのハブとして機能しています。新アルペン横断鉄道(The Neue Eisenbahn-Alpentransversale :NEAT)は現在、ヨーロッパのハブであるスイスで建設中の4大鉄道プロジェクトのうちの1つです。

その57kmのトンネルはアルプトランジット・ゴッタルド・プロジェクトの核となる部分で、2015年から時速250kmの鉄道が走る予定です。トンネルは同時に5箇所から建設が始められました。北側の入口エルストフェルド、中間点のアムステッグ、セドルン、ファルド、そして南側の入口ボドロの5箇所です。開通すると世界最長のトンネルとなります。

1995年からGPSを導入し、約30点の主要基準点網を作成し、それを参照しながら建設工事が開始されました。建設現場にはそれぞれ5-7点の基準点網があり、それを参照してトンネル工事が進められます。アルプス山脈は現在も地殻変動を続けており、建設工事中約20年間、基準点の維持管理は非常に重要な仕事でした。各現場では基準点が使われる度に点検し維持管理をしてきました。2005年の夏、10年振りに初めて主要基準点網を点検しました。

学生の参加したプロジェクト
ETH Zurich(スイス国立技術協会)の測量計測学部の教授は過去10年以上にわたりアルペントランジット・ゴッタルド社へのアドバイスをし、トンネル工事の設計を担当した測量共同事業体のVI-GBT(ゴッタルド・バシストンネル測量技術コンソーシアム、Vermessungsingenieure Gotthard-Basistunnel)と密接に関わってきました。過去2件のプロジェクト同様に測量技術協会の学生達も作業に関わってきました。2005年の夏、ETH-Zurichはセドルンで測量プロジェクトコースを開催しました。

このコースの中で全ての学生達は興味がある実際のプロジェクトに参加する機会を持てます。その中で生徒はキャリア形成のために貴重な経験を積むことができるのです。一方、参加企業は人材と器材を無償で測量業務に使うことができるのです。

世界記録!28台のGPSが同時に夜通し測量
2005年度のコースの主要プロジェクトの1つにゴッタルドトンネルの主要基準点網の点検作業がありました。作業手順が複雑になることは既に計画段階でわかっていました。必要な数cmの精度を得るためには電離層の影響が最小限になる夜間に可能な限り多くの器械で同時に長距離基線の測定をする必要があります。

プロジェクトメンバーはVI-GBTコンソーシアム、ETH Zurich、ノースウェスト・スイス大学から器材を借りて共同作業しました。そのおかげで同時に基線長60kmに及ぶ28箇所の点を7月15日の夜間12時間観測することに成功しました。28台ともライカ製でその内訳はGPS300 3台、GPS500 16台、GPS1200 9台でした。この世界最長のトンネルは完成前に既に世界最長記録を達成しており、かつて建設工事にこのような広範囲に渡る測量が行わたことはありませんでした。まさにスイス国内の記録だけではなく世界記録を達成したわけです。

1995年から2005年まで同一の基準点を使用
観測では異なった機種のGPSを混合使用しましたが、どの機種も互換性があり、完璧に機能しました。LGOを使用すると短時間で高精度な基線解析ができます。相対精度(理想地との偏差)は多種の基準局と分析モデルを使って様々な検証が行われました。

1995年の最初の測量で得られた既知点成果を4つの変換パラメータを使ったヘルマート変換して2005年の観測データと比較しましたが方向は一致しました。若干のシフトとスケールの差がありましたが、作業計画にほとんど影響しませんでした。最初に主要基準点網(既知点成果)の点検を行ったため、整合性が取れた座標データを使いながらゴッタルドトンネルの工事を完了することができたのです。